【Photoshop】画像操作を用いてルミノシティマスクを作る
Irisです。
今回はルミノシティマスクの作り方についてご紹介します。日本ではまだあまり広まっていないようですが、海外では多くの有名写真家も使用しているテクニックになります。
ルミノシティマスク(Luminosity Mask)とは
まだ日本においてはあまり聞きなれない言葉ですが、ルミノシティ(Luminosity)とは輝度、つまり明るさのことを指します。そしてマスク(Mask)とはPhotoshopにおいてマスクのように画像を部分的に隠すことを指します。Photoshopでよく使われるレイヤーマスクはレイヤーの一部をマスクする(隠す)ことから名付けられています。(ルミノシティマスクは「輝度マスク」と呼ばれることもあります。)
わかりやすく言い換えると「マスクする」ということは画像を部分的に隠した選択範囲を作ることです。レイヤーマスクはレイヤーの一部だけを選択した画像であり、ルミノシティマスクは画像の明るさによって部分的に選択した画像となります。ルミノシティマスクを用いることで明るい部分や暗い部分だけ選択した画像を作ることができます。
ルミノシティマスクは海外のレタッチ業界ではメジャーな手法であり、画像の選択された部分のみ編集するのでハイライトやシャドウを調整するよりも細かい調整ができたり、より自由度の高い編集が可能となります。また、露出の異なる複数の画像を用意してルミノシティマスクを用いることでノイズの少ないHDR(ハイダイナミックレンジ)写真を作成することもできるようになります。
ルミノシティマスクを作る方法
ルミノシティマスクを作る方法にはいくつかありますが、「色域指定」や「画像操作」、Raya Proなどの「露出ブレンド」ソフトを使用する方法があげられます。いずれもPhotoshopを使用してマスクを作成するのですが、大事なのは自分がやりやすいと感じた方法を用いることです。あまり複雑なテクニックは覚えるのも大変かと思いますので自分に合った方法を使用して問題ないと思います。
今回は画像操作を使用したルミノシティマスクの作成方法について解説し、他の方法については別の記事で紹介したいと思います。
色域指定を用いてルミノシティマスクを作る方法についてはこちらの記事をご覧ください。
画像操作を用いてルミノシティマスクを作る
それでは「画像操作」を用いてルミノシティマスクを作る方法について説明していきます。画像操作を使用した方法ではハイライトとシャドウでルミノシティマスクの作り方が違ってきます。
画像操作の注意点として、画像に直接効果をかけるので先に効果を加えたいレイヤーを作成します。また、画像操作では部分的に色調補正をかけるものとなっていて、厳密にいうとハイライトやシャドウの部分のみ選択した画像を作るわけではないため複数の写真からHDR写真の合成などはできません。
おおまかな手順は以下のようになります。
色調補正レイヤーの作成
イメージ→画像操作
具体的な手順について説明します。
まずはPhotoshopで画像を開きます。LightroomからPhotoshopに連携する場合は画像を右クリック→「他のツールで編集」→「Adobe Photoshopで編集」を選択します。Photoshopから画像を直接開く場合は左上メニューの「ファイル」→「開く」になります。
色調補正レイヤーの作成
まずはルミノシティマスクに対して効果をかける色調補正レイヤーを作成します。ルミノシティマスクに加えるエフェクトとしてはレベル補正やトーンカーブ、色相・彩度、カラーバランス、レンズフィルターなどが使いやすいかと思います。
色調補正パネルはデフォルトでは右側にあるかと思います。見当たらない場合は「ウインドウ」→「ワークスペース」→「写真」で表示されるようになります。
今回は例として、トーンカーブレイヤーを作成します(実際は補正したい項目を選択してください)。色調補正パネルからトーンカーブを選択し、トーンカーブレイヤーを作成します。左上メニューから「レイヤー」→「新規調整レイヤー」→「トーンカーブ」でも作成可能です。
トーンカーブレイヤーが作成できました。ここからルミノシティマスクを作り、選択範囲にのみ色調補正をかけていきます。赤枠で囲ったところは現時点では白くなっているので画像が全て選択された状態ですが、画像操作を行うことで画像が部分的に選択されたマスクになります。
イメージ→画像操作
それでは画像操作を用いてルミノシティマスクを作っていきます。
トーンカーブレイヤーを選択した状態で左上メニューから「イメージ」→「画像操作」を選択します。
するとこのような画面になります。選択項目がいくつかありますのでルミノシティマスクを作る際の設定についてポイントをまとめます。
ルミノシティマスク(ハイライト)の作成
レイヤー;結合
チャンネル;RGB
描画モード;乗算
不透明度;100%
※階調の反転はチェックを入れない
ルミノシティマスク(シャドウ)の作成
レイヤー;結合
チャンネル;RGB
描画モード;乗算
不透明度;100%
※階調の反転にチェックを入れる
ハイライトとシャドウのルミノシティマスクの作成方法の違いは、「階調の反転」にチェックを入れるかどうかになります。
選択範囲の確認
今回はハイライトのルミノシティマスクを作ってみました。
画像操作で作成したルミノシティマスク(選択範囲)の確認方法ですが、色調補正レイヤーのマスクを「optionキー(WindowsではAltキー)を押しながらクリックします(もう1度クリックすると戻ります)。すると白黒表示なり、選択範囲の確認ができます。レイヤーマスクでは白黒表示になりますが、白が選択された部分、黒が選択されていない部分になります。
選択範囲の調整
選択範囲の微調整も可能です。マスクを選択した状態(白黒表示)で「commmand+l(エル)(WindwosではCtrl+l(エル)」でレベル補正が起動するのでスライダーを動かすと選択範囲の調整ができます。
手順のおさらい
画像操作を用いたルミノシティマスクの作成方法についておさらいします。
色調補正レイヤーの作成
イメージ→画像操作
ルミノシティマスク(ハイライト)の作成
レイヤー;結合
チャンネル;RGB
描画モード;乗算
不透明度;100%
※階調の反転はチェックを入れない
ルミノシティマスク(シャドウ)の作成
レイヤー;結合
チャンネル;RGB
描画モード;乗算
不透明度;100%
※階調の反転にチェックを入れる
選択範囲の調整
option(WindowsではAlt)を押しながらマスクをクリックして選択範囲を確認する
「commmand+l(エル)(WindwosではCtrl+l(エル)」で選択範囲を調整する
使用例
画像操作を用いて作成したルミノシティマスクの使用例を何パターンかあげてみます。
ハイライト部分のルミノシティマスクをトーンカーブで暗くする
トーンカーブをハイライト部分に適用しハイライト部分を暗めに抑えました。
ハイライト部分のルミノシティマスクをレベル補正で暗くする
レベル補正も同様にハイライトやシャドウ部分に適用することが可能となります。
ハイライト部分のルミノシティマスクを色相・彩度で補正する
色相・彩度をハイライト部分に適用し色味を変えました。
ハイライト部分のルミノシティマスクをカラーバランスで補正する
色相・彩度と似た項目になりますが、カラーバランスをハイライト部分に適用し色味を変えました。
ハイライト部分のルミノシティマスクにレンズフィルターを適用する
レンズフィルターをハイライト部分に適用し色味を変えました。
まとめ
輝度に応じた選択範囲であるルミノシティマスクは海外でもメジャーな手法となっています。今回紹介した画像操作を用いることで簡単にハイライトやシャドウにのみ色調補正をかけることができますのでチャレンジしてみてください。